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仏教聖典とは

仏教聖典とは

お釈迦さまとして知られる仏教の開祖、ブッダ(仏陀=目覚めた人の意)が説いた真実の教えを集めた「お経」の中から、教えの大切な要素とたとえ話を選び、それらを日常のやさしいことばにかえて表現したものです。

仏教聖典について

お経とは

仏教とは、ブッダ(釈尊・お釈迦さま)一代45年間の説法をもととする宗教です。
ブッダは35歳のときにさとりを開かれ、インド各地を巡行しながら説法し、80歳で入滅(死去)されました。ブッダは人間の平等を強く主張され、誰もが等しく理解できるよう、それぞれの人に応じて教えを説かれたため、その教えの量は膨大なものとなりました。 「お経」というのは、ブッダがお亡くなりになった後、その言葉を記憶していた弟子たちが集まり、後の世に教えを正しく残すために書かれた仏教の聖典です。これらの教えが古代インドの言葉であるパーリ語で伝えられ、スリランカをはじめ、タイやミャンマーなど東南アジアに広がっていった仏教を部仏教と言います。一方、サンスクリット語をもとに各地の言語に翻訳され、中央アジア、チベット文化圏、中国、朝鮮を経て日本へと伝わった系統の仏教を大乗仏教と言います。三蔵法師(玄奘三蔵)の旅に代表されるように、インドから中国に伝えられたお経は、中国語(漢字)に翻訳され日本に伝わりました。

お経の
現代語訳

仏教伝道協会では、『大般涅槃経』『梵網経』『維摩経』『転法輪経』『華厳経』『遺教経』『無量寿経』『法華経』など漢訳経典として日本に伝わった5千余巻の根本聖典だけでなく、スリランカやタイなどに伝わったパーリ語聖典からも、我々の現実生活に対して最も深いつながりをもった、親しみのある教えなど、特に重要なところを慎重な配慮のもと偏りなく抽出し、「仏教聖典」として誰もが手軽に読めいつでも心の糧にすることのできるよう、やさしくわかりやすい現代の言葉に翻訳・編集しました。

生活の指針に

また、どこからでも読めるようにブッダの生涯や、み教えだけでなく、私たちの生活と心の実際に触れる、生きた指針として「人生」「 修養」「悩み」「日常生活」「家庭」「社会」などの分野にわたって生活索引を付しました。内容別に分類していますので、どのページからでも読むことができます。

由来とあゆみ

公益財団法人仏教伝道協会が発行する「仏教聖典」は、大正14(1925)年7月に、木津無庵氏を代表とする新訳仏教聖典普及会から出版された『新訳仏教聖典』をもととしてつくられました。
この初版本編纂にあたっては、山辺習学、赤沼智善の両教授を中心に、広く仏教学界の諸師が監修、編集の労を寄せ、約五年の月日を経て出版されました。
ここに仏教伝道協会は、木津無庵氏をはじめとする、原『新訳仏教聖典』を編纂された諸師に対して、甚深なる感謝と報恩の意を表します。

昭和に入って『国民版仏教聖典』が同普及会で出版され、広く全国に行き渡りました。昭和9(1934)年7月に汎太平洋仏教青年大会が日本で開催されたとき、その記念事業の一つとして、前掲の『国民版仏教聖典』より、英語版仏教聖典 “The Teaching of Buddha”が、D・ゴダード氏の協力を得て全日本仏教青年連盟の手によって刊行されました。
昭和37(1962)年、仏教東漸七十周年を記念して、株式会社ミツトヨ創業者・沼田惠範氏が、同『英訳仏教聖典』を刊行しました。昭和40(1965)年、同氏が浄財を投じて財団法人仏教伝道協会を設立するや、同協会の事業として、この聖典を全世界に普及することが企画されました。

この企画に従って、昭和41(1966)年に、新たに仏教聖典編集のための結集が行われました。メンバーは紀野一義、金岡秀友、石上善應、佐伯真光、松濤弘道、坂東性純、高瀬武三の七氏であり、増谷文雄氏、N・A・ワデル氏、清水俊輔氏などの協力も得て、ここに『日英対訳仏教聖典』が誕生しました。
昭和47(1972)年、この聖典をもとに金岡秀友、石上善應、花山勝友、田村完誓、高瀬武三のスタッフをもって編集作業が進められ、『英文仏教聖典』が刊行されました。

次いで塩入亮達、高瀬武三、立川博、田村完誓、坂東性純、花山勝友(編集責任者)のスタッフによる結集が行われ、昭和48(1973)年『和文仏教聖典』が刊行されました。
更に昭和49(1974)年、『英文仏教聖典』再編集のための結集が、R・スタイナー氏の協力のもとに、松濤弘道、坂東性純、佐伯真光、徳永道雄、田村完誓、花山勝友(編集責任者)によって行われ、先に刊行した『和文仏教聖典』と合せて『和英対照仏教聖典』が刊行されました。
昭和53(1978)年には、鎌田茂雄、奈良康明の両氏を編集スタッフに迎えました。さらに平成13(2001)年には、ケネス田 中、米澤嘉康、渡辺章悟、前田專學(編集委員長代行)が新たにスタッフに加わりました。

平成25(2013)年に、仏教伝道協会が財団法人より公益財団法人に移行するにあたり、前田專學(編集委員長)、石上善應、木村清孝、ケネス田中、竹村牧男、奈良康明、吉水千鶴子、米澤嘉康、渡辺章悟をメンバーとして新たに仏教聖典編集委員会が組織された。平成29(2017年)年より竹村牧男編集委員長のもと、現代に即する聖典にするための結集が毎年行われている。
2017年6月

「仏教聖典」普及の目的と意義

人間の完成をめざす
仏教

現代のような物質偏重、心不在の混迷なる社会において、今、いちばん求められているものは、一人ひとりのよりどころと平和なる社会 の実現ではないでしょうか。
平和な社会は人間の完成によって得られますが、人間の完成をめざす宗教に仏教があります。
ブッダは、苦から脱却し、苦を超える道を求め、ついに迷いの世界を転じてさとりの世界に至る教えを説かれました。
私たちがこの教えを学ぶとき、人生の真の意味を見いだすことになるでしょう。
そして、私たちが仏の教えを人生の究極の拠り所として仰ぐとき、思い通りにならない現実の人生そのままが、「生かされて生きている」慶びへと転じ、お蔭さまと一切のものを生かし切る、人間完成の道が開かれることでしょう。この聖典によって、生きたみ仏の教えを全世界の人びとに伝え争いと憎しみのない平和な社会の実現に少しでも役立ちたいと願っています。

一人でも
多くの人に
伝えたい

そのような願いから、日本と世界各国の主要ホテルの客室に常備することをはじめとして、あらゆる機会を通じて、その普及を心がけています。全世界への普及を志して以来、今日まで63ヵ国に960万冊以上を頒布いたしました。また、和英対照、英文、和文をはじめとする母国語で読んでいただくための各国語への翻訳は46言語に及んでいます。「仏教聖典」は今日もあらゆる国々で、人々の生きた指針となっています。
※点字に翻訳した『点字仏教聖典』や、日本手話に翻訳した『手話仏教聖典DVD』、『仏教聖典オーディオブック』も作製しています。
またiPhone/iPad及びアンドロイド端末に対応した『電子書籍版仏教聖典』も扱っております。

世界の
平和を
願って

この聖典が一冊でも多くの家庭に入り、一人でも多くの人々の手に渡り、すべての人がひとしく智慧の光に照らされる日が来ることを願ってやみません。聖典との出会いを通して、私たち一人ひとりがこの人生をより意味あるものとして自覚した時に、世界平和と人類平等の理想が実現するのではないでしょうか。